ノー・リミット 令和6年11月月例会のご報告(議事録)
令和6年11月16日に行いました「ノー・リミット」令和6年11月月例会(第20回)の内容を議事録にしました。
プログラム
- 日時:令和6年11月16日朝8時30分集合、12時解散
- 場所:福岡市民防災センター
- 参加者:西 夕子さん、中村副代表、出村で視覚障害者が3名、ガイドさんが2名
NPO法人ハッピーライドさんから常田さん、篠原さん、山下さん、ボランティアの牧野さんで総合計9名 - プログラム
- 今月のテーマ: (防災学習その1) いつか来るかもしれない大地震に備えて…災害体験&防災講話ツアー
プログラム詳細
今月のテーマ:
(防災学習その1) いつか来るかもしれない大地震に備えて…災害体験&防災講話ツアー今回の企画の経緯
まずは視覚障害者が災害時にどうすればいいのか、避難所に行くのがそもそも難しいのだけど、はたして避難所に行くのが本当に正解なのか?
こんな話を中村副代表に紹介していただいたNPO法人はっぴーらいど理事長の常田さんに言われました。
常田さんは東日本大震災の時に被災者を元気にするぞという気持ちで被災地にボランティアで入ったのですが
そのあまりの惨状に、そして視覚障害者や重度障害者といった要支援者が避難所で受けている待遇、待遇というと語弊があります。
仕打ちという言葉がぴったりなぐらい、本当にひどいものでした。
それはなぜかというと、要支援者のほとんどが「自分さえここにいなければ、皆さんに迷惑をかけないで済むんです」と言って
避難所からほぼ追い出されたような形で、外で避難をしていたそうです。
しかし、その結末は当然よいわけもなく、そんな理由で、せっかく災害から避難して助かったはずの命がそんな形で失われていたのです。
これに常田さんは非常に大きなショックを受けます。「こんなことが日本で許されるのか?」
「きっと要支援者が助かる避難方法があるはずだ」と考えて、その後、その時に勤めていた会社を辞めて今のNPO法人ハッピーライドを立ち上げたのです。
それから紆余曲折を経て、そして今でも要支援者の災害時の避難、防災についてさまざまなイベントを全国で手掛けておられるそうです。
そんな常田さんは福岡市在住なこともあり、福岡の視覚障害者や重度障害者の防災、避難活動の力になりたいと考えて、
そして福岡の行政を動かしたいと考えて福岡の視覚障害者にアンケートを行い、その結果を行政に届けて
少しでも要支援者が助かる制度や施設づくりに活かしてほしいと考えて、とある障害者団体にアンケートの協力をお願いしたそうです。
しかしながら、その団体は常田さんに協力しませんでした。
それでも常田さんはあきらめずにその団体を5回訪問したそうです。
私たち障害者のために動いてくださっているのに、そんな常田さんにそうやって協力せずに
最終的には「自分たちがこれに協力したら、いくらもらえるのか」と言い放ったそうです。
これを聞いた時、私はあきれ果ててものが言えませんでした。
しかもそれは障害者当事者です。 世の中にはこんなにひどい考え方をする人間がいるんだなと本当にはらわたが煮えくり返りました。
そのような経緯があって、ぜひ私たちにできることがあれば協力させてくださいということから、私と常田さんの協力体制が組まれたのです。
その防災イベントの第1弾が今月の企画です。
今回は福岡市民防災センターでさまざまな災害について体験して学ぼうというものです。
今回はVRゴーグルによる地震体験、消火器を用いた消火体験
火災時の避難体験、そして最後に震度7体験となっています。
私はもう20年ぐらい前に起こった福岡の西方沖地震の時には福岡にいなかったので、大きな地震の体験がありません。
そのような意味でも今回の震度7体験が楽しみといったら怒られますが、実際にどれぐらいの衝撃なのかと考えてこの日を迎えたのです。VRゴーグルによるバーチャル体験
まずはVRゴーグルを装着してまるで実際に今地震が起こっているような体験ができるというコーナーです。
実際にはヘッドホンのようなゴーグルを装着して特別な椅子に座ります。
そしてスタート。本当は目の前に映像も流れているのですが、視覚障害者の私たちにはそれはほぼ分かりません。
横から今はこんなふうになっていますよとガイドさんから教えられて状況を把握していました。
そして椅子が揺れて、風が吹いたりして確かにバーチャル体験とも言えるかもしれませんが、やっぱり映像が主なので、それほどまで驚いたりするようなことはあまりなかったかなというのが正直なところですね。
具体的に言えば「わーー、風邪が吹いてきたな」、「わーー、椅子が揺れているな」ぐらいの感想です。火災時の建物からの脱出体験
次は火災時の建物からの脱出体験です。
具体的には2人ずつぐらいで建物の中に入ります。その建物の中で火災が起こっていると言う想定です。
偽物の煙も充満しています。この煙をなるべく吸わないようにして建物から脱出するというコーナーです。
実際に火災の時には煙を吸い込むと、煙自体がものすごい高熱なのでのどが焼かれて、そして息ができなくなり、死に至ります。
なので、まず気を付けないといけないことは煙を吸わないことです。
そのため、手で口を押さえるのではなく、ハンカチや自分の洋服の袖などで口と鼻を覆います。
手では隙間から煙が入ってきてしまうからです。
そして煙は高い方にのぼっていきますので、脱出する時はなるべく体勢を低くして進みます。
そしてこの建物の中には非常誘導灯が点灯しているのでその明かりが示す方向に歩いて行けば出口にたどりつけるというものでした。
しかしながら私たちは視覚障害者であるため、弱視の方はまだその明かりや方向が見えるかもしれませんが、
全盲はまず無理です。なので全盲ができることは白杖を振って壁伝いに歩いていくぐらいしかできないと思います。
そんなわけで結局、全盲の私はガイドさんや西さんと一緒に、ただ言われるがままの方向に歩いて出るという体験しかできませんでした。
そしてこの模擬の煙はわざと甘い香りつけていて、その甘いにおいを感じたのなら、それは煙をバッチリ吸い込んでいるという証なのです。
え?匂いはしなかったかって?ばっちりあまーーーーい匂いがしておりました。だめだこりゃ。消火器を用いた消火体験
さて次は実際の消火器を用いてバーチャルの炎を消すという体験コーナーです。
消火器の中身は薬剤ではなくただの水に差し替えられていますが、物体自体は本物の消火器です。結構重いですね。
そして炎は画面に映し出されているもので、そこに実際に水をかけると炎が小さくなり、
水が当たらなかったら炎はどんどん大きくなり、もはや消火器では対処できなくなるので、最終的には「逃げろーー」と大きな声で叫んで終了することになります。
そして結果ですが、さすが視覚障害者です。炎にうまく当てられずに消火器を置いて逃げることになってしまいました。やっぱりちょっと難しいですね。
実際にもし火災に気づいても自分で対処せずに大声出して助けを乞うか、周りの人に消火してもらうか、みんなで逃げることを優先するほうがよさそうですね。大地震体験
そして最後は大地震の体験コーナーです。これはテーブルと椅子が用意されていて、私たちは椅子に座り、目の前に置いてある鉄の重いテーブルを下からしっかりとつかんで椅子から転げ落ちないようにする体験コーナーです。
一応体験する震度は4から7まで選べるのですが、ここで4などを選ぶはずがありません。男は黙って震度7一択です。九州男児たるもの常に大きな壁に立ち向かっていかないかんとですよ。知らんけど。
でもやっぱり一番ひどい状況を体験しておけば、これから先に起こるかもしれない災害に少しでも心の準備ができるのも確かだと思いますのでね。そういう意味でも震度7を選びました。
私は福岡で西方沖地震が起こった時に福岡にいなかったので大地震の体験がなかったからというのもあります。どんなものだろうかと少し不謹慎ながらわくわくしてそのスタートを待っていました。
そしていざスタート。ものすごい揺れで、このクソ重たいテーブルが、私たちが4人でつかんでいるにもかかわらず、私たちごと縦横無尽に揺れ動きます。
これ本当にテーブルをつかんでいなかったら椅子から転げ落ちてたと思います。こいつはひどい。
そして体験が終了してもまだ体が小刻みに揺れているような気がしていました。いや、こんなのが実際に起きたらそりゃあ正気じゃいられないなと思いました。
できる限り、大地震が起こらないのを願うばかりですね。消防士さんの講話
体験コースが終わってから最後に消防士さんの講話のコーナーに移りました。
約30分程度、これまで起こったさまざまな地震、その地震それぞれで性質が違い、その被害の形もさまざまでした。
地震そのものだけでなく、そこから起こる二次被害、また地震が起こる場所によっても被害の形が変わることを学びました。
最後に質問もいくつか飛んで、とても学び多い時間になったと思いました。おわりに
今回の体験で、私たち視覚障害者にとってまずどんな対策を取っておくべきか、
そして対応できる災害とできない災害があることも学べました。
まずは第一に火災を起こさないようにすること。はっきり言って私たち視覚障害者にできることはこれぐらいしかないと思います。あとは備蓄ぐらいでしょう。
実際に火災が起きてしまったら逃げる以外の選択肢はないと思いました。そのために常に貴重品などはまとめておくことでしょう。
では、何を備蓄すべきなのか?
そして家から逃げ出して避難所に行くとすれば、避難所では私たち視覚障害者はどのようにすべきなのか?
そして、そもそも避難所では私たち視覚障害者も安心して滞在できるのか?
こんな疑問がきっとあると思います。
そのことをしっかりと考えてほしくて来月の防災セミナーを企画して、その前準備として今月の体験企画を準備したのです。
なので参加者が少ないのがとても残念でしたが、いずれ機会があれば、また皆さんにお伝えできればなと思っています。
それでは今月の月例会の報告は以上となります。読んでいただき、ありがとうございました。