ノー・リミット 令和6年12月月例会のご報告(議事録)
令和6年12月14日に行いました「ノー・リミット」令和6年12月月例会(第21回)の内容を議事録にしました。
プログラム
- 日時:令和6年12月14日13時から15時30分まで
- 場所:福岡市舞鶴庁舎大会議室
- 参加者:西 夕子さん、栗田さん、山口さん、Iさん、中村副代表、出村でノーリミットからは視覚障害者が6名、ガイドさんが3名で合計9名
視覚障害者友好協会福岡支部から視覚障害者が7名、ガイドさんが3名で合計10名
一般の部から視覚障害者が4名、付き添いの方が2名で合計6名
NPO法人ハッピーライドさんから5名
そしてボランティアの牧野さんで総合計31名。 - プログラム
- 今月のテーマ:
(防災学習その2)防災イベント
視覚障害者×防災 転ばぬ先の白杖 in 福岡
プログラム詳細
今月のテーマ:
(防災学習その2)防災イベント
視覚障害者×防災 転ばぬ先の白杖 in 福岡今回はノーリミットと私が所属する視覚障害者友好協会福岡支部との合同企画として、視覚障害者・重度障害者の防災・災害時の避難についてさまざまな取り組みを幅広く取り組まれている
NPO法人ハッピーライド
さんをお招きしての防災イベントを開催いたしました。
友好協会のほうで私が報告書を提出するようになっていたので、そちらに向けて書いた文章を少し修正してこちらに記載していますので、ちょっとノーリミットにとっては少し分かりづらい表現があると思いますが、ご了承ください。友好協会からのごあいさつ
さて本題にうつります。当日は13時から福岡市中央区舞鶴にある舞鶴庁舎の大会議室で行いました。
参加者はハッピーライドさんから5名、ノーリミットから9名、一般の方が7名、そして視覚障害者友好協会福岡支部から10名で合計31名の参加でした。
福岡市の庁舎にもかかわらず、庁舎がある通りに点字ブロックが敷設されていないうえに歩道も狭いので大丈夫かなと心配していましたが、皆さん、なんとかたどりついてくださって何よりでした。いずれは点字ブロックの敷設をお願いしたいなと思っております。
総合司会は私が務めました。簡単な経緯と自己紹介、それから前福岡支部長の松原さん、そして新福岡支部長の片山さんにマイクを渡し、視覚障害者友好協会のPRをしていただきました。
松原さんに至ってはもう50年も視友協
(しゆうきょう…視覚障害者友好協会の略)
に携わっておられるわけですから、これまでの活動のPRをしていただくのは松原さん以外におられないと思いました。もちろん、ほかの会員さんも同じくらい長いのですが、支部長の引き継ぎの周知も込めてこの形としました。
また、新支部長の片山さんにはこれからの福岡支部がもくろんでいる会員の若返り、またそれぞれの年代に起こり得る視覚障害者の困りごとの解決に向けてこれまで以上に細やかなフットワークを駆使した会を目指すと言う強い意気込みを語っていただきました。お二方ともPRありがとうございました。第1部 常田さんが目のあたりにした視覚障害者の避難所での惨状
ここからハッピーライド常田さんにマイクをお渡ししてイベントの開催となりました。
まず第1部は「視覚障害者が避難所でどのような扱いを受けているのか」というお話からでした。
私たち視覚障害者は避難所に行くことからまず難しいわけですが、たとえ避難所に行けたとしても、そこからの問題も人一倍山積みです。
まずは「避難所の中での自分のスペースに関する問題」です。
1人あたりに用意されているスペースは畳1畳分の広さしかありません。
そこにブルーシートが敷かれているだけの場所です。そして荷物もそのブルーシートの上に乗せる、もしくは下に潜り込ませるしかないわけで、まず荷物の管理が難しいという点が挙げられます。
次は「プライバシーの問題」です。
隣の人との仕切りもないので先ほどの荷物の管理についても、見えない視覚障害者からすれば防犯もへったくれもありません。取られたらどうしようという不安をずっと抱えながら過ごすことになります。
また女性なら「性被害問題」が挙げられます。
実際にこういった避難所では性被害の報告がとにかく多いそうで、やはりその点において避難所に行くのをためらわれる方がとても多いそうです。
そもそも、隣にいるのはどんな人なのかというのも私たちからすれば分からないので、これに関しては男女関係なく不安なことだろうと思います。
そして次は「トイレ問題」です。
避難所にはトイレも用意されてはいますが、まず自分のスペースからそのトイレまでどのように行けばいいのでしょうか?
先ほども言いましたが多くの避難者が敷き詰められている状況で、自分一人でトイレまで移動できるでしょうか?
残念ながら、かなりの高確率で誰かの足を踏むでしょう。そうなるとトラブルになります。
日常生活の中なら誰かが助けに入るかもしれませんが、ここは避難所、つまり緊急事態であり、その避難所のほとんどの人がパニック状態です。
家や家族を失った人たち、自分はこれからどうすればいいのかと頭がいっぱいいっぱいになっている人たちに誰かを助ける余裕があるでしょうか?
そして先ほども言いましたが隣の人に助けてもらうとしても、隣の人がどんな人なのか私たちには知り得ません。
もしかすればその次の瞬間には別の人に代わっているかもしれず、先ほどの物品管理や性被害といったことからも、手助けのお願いがなかなかできない状態だということなのです。
実際に常田さんが聞いた話によれば、ある視覚障害の女性はそのような事情から誰にも助けを求めることができずにトイレを24時間耐えたそうです。
しかし、我慢も限界になり、周りの人に助けを求めましたが耐えきれずに間に合いませんでした。するとそのことに対して周りから苦情を言われ、いづらくなり、その視覚障害者の方は自主的に避難所を後にしました。
そしてどこにも行くことができず、そのまま外で命を落とすことになったそうです。
これは「どこでも起こり得ること」ではありません。「すでにどこでも起こっていること」なのです。
常田さんは「自分たちが避難所に最初からいなければいい、我慢していればいいんです」と言った視覚障害者の声に、その事実にショックを受けて、現在のNPO団体を立ち上げたそうです。
私もそんな事実があることを今回初めて知りました。
「福祉避難所」というものは日常生活での福祉施設のように要支援者は支援されて当たり前のものと思っていましたが、
実際にはそこに避難している人たちが自主的に動くだけなので、
結局、私たち視覚障害者にとって「災害が起こったら避難所に避難する」ということは果たして本当に正しいのか?
避難しないほうがいいのではないか?」
といった問題を突き付けられているような気がするのです。第2部 避難所で使えそうな防災グッズ
第2部は「避難所で使うことを想定した避難グッズ」についてです。
まず1つ目は、隣との仕切りを作る段ボール製のパーテーション(仕切り板)です。高さ150センチの段ボールを数枚横に重ねて部品で固定して隣の人との仕切り板にするものです。
これによって隣の人からは見られることがなくプライバシーの保全になります。
しかし実情としては、それを例えば自分の左側に設置しても右からは見える、前からは見えるわけで、はたしてそれでいいのかなと個人的には思ってしまいました。
また、価格も2万円と高価なことに加え、個人で用意できたとしてもそれを避難所に自分だけでどのように運ぶのかという問題があります。
はっきり結論を言うと運ぶことも不可能ですし、自分だけで組み立てることも不可能です。
ということは結局、行政が用意することになるのですが、全ての避難所にこれが行き届くわけでもありません。熊本の地震の際には設置率5パーセントほどだということで、あまり期待はできないというのが実情のようです。
また組み立てたとしても高さが150センチある段ボールです。寝返りをして体が少し強めに当たれば横に倒れます。すると隣の人とのトラブルにもなりかねません。というか、なるでしょう。
じゃあこれ、結局どうすればいいの?という話ですね。
次は「組み立て式便器」です。
これは100均ショップにも売っているそうです。100円ではないのですが。
これも段ボール式で自分で組み立てるタイプです。組み立てると高さ50センチぐらいの洋式便器ができあがります。
使う際には便器の内側に袋を入れて、さらにはその袋に凝固剤などを入れて使えば後始末も簡単です。
問題としてはまず便器の高さが50センチと低めなため、足腰が弱い方にはちょっとつらいということです。
そしてもう1つは、視覚障害者の私たちが自分で組み立てることができるのかという問題です。
私も自分で作ったことがないので正直分からないのですが、なんとなく訓練次第でどうにかなるんじゃないのかなとは思っています。
実際に今回そのできあがった便器に参加者一人ひとりが座ってみたのですが、私としては結構しっかりしているなと感じました。
これは先ほども言ったように、避難所でトイレに行けないなら自分のスペースで用を足すしかありません。
その時にこれがなければもうおむつで用を足すしかないわけです。
それを考えれば結構使えるんじゃないかなと思いました。
ちなみに耐荷重は80キログラムだそうです。私は70キログラムですが実際に座ってみて危うさのようなものはありませんでした。しっかりしているなあという感じです。
次は「頭からかぶるビニールのポンチョ」です。
これの使い道としては、まずかぶった段階で温かいという利点があります。
避難所においては毛布などが配布されるのはその避難所が開放されてからどうあがいても最低3日後、下手すれば1週間後ということに加え、全ての避難者に行き届くわけでもないそうです。
それどころかペットボトルの500ミリの水1本がもらえればいいほうだとも聞きます。
また床はブルーシートしか敷いていないため、固く冷たいので寒さは本当に深刻な問題だそうです。
その寒さの軽減には結構使えるのかなと思いました。
またもう1つの利点としては、先ほど自分のスペースで用を足すとなった時に、周りから丸見えの状態で用を足す必要があります。
その際にこれを頭からかぶれば、恥ずかしいという気持ちも少しはまぎれるのかなと感じました。
まあ、私たちは視覚障害者なのでもともと誰から見られているのか、見られていないのかというのは実際には分からないわけですけどね。
第3部 それならどうするのか?
そして第3部は「ではどうするのか」ということについてのお話です。
結局、移動や管理が難しい私たち視覚障害者は災害時に避難所に行くことが本当に安全なのかということです。
ここまで挙げてきた内容を聞いて、本当に避難所に行くことが自分の精神や命を健全に保てる選択肢なのでしょうか?これこそが常田さんたちハッピーライドが私たちに知ってほしい、そして自分たちで一歩立ち止まって考えてほしいテーマなのです。
結論を書かせていただくと、常田さんたちハッピーライドは「在宅避難」を提唱しています。
つまり、自分の家で身の安全を確保できればいいわけです。
それは自分の家なら備蓄さえしっかりできていれば、プライバシーや移動と言った先ほどの問題点もクリアできるからです。
ただ、その家が壊れたらどうしようもないじゃないかという声もあると思います。
しかしそんな問いに対して、常田さんが満を持して紹介してくれたのが災害にとても強い家をつくる「セキスイハウス」さんの住宅です。
セキスイハウスさんはバリアフリーをはじめ、防災に特化した住宅を提供しています。
常田さんはセキスイハウスさんと協力して山口県にあるセキスイハウスの体験施設へのバスツアーを企画しておられ、12月8日に私はそのバスツアーに参加させていただきました。
そこで実際にその住宅の中で震度7を体験させてもらったのですが、通常の場合、鉄の重いテーブルにしっかりとしがみついていないと私たちはおろかそのテーブルもろとも倒れてしまいそうな勢いです。
実際にそのテーブルも私たちが座っている椅子も元の位置から数メートルずれていました。それだけの衝撃がセキスイハウスさんの免震構造の家では私の体感的には震度3ぐらいでしょうか?揺れはするものの、さほど危険を感じるようなことは全くないと言い切れるまでにその衝撃は緩和されていました。
また地震だけではなく炎にも強く、壁の外から750度もの高熱を浴びせていても、その壁の内側の気温変化は全くないという災害にとんでもなく強い家というものがあるということを体験させていただきました。
そのほかにも私たち視覚障害者が過ごしやすいというより、「障害の有無も関係なく、どんな人でも過ごしやすい安心安全な家」をコンセプトにつくられています。それがセキスイハウスさんが提供する住宅、そしてそれがこれからそう遠くない将来に高確率で起こるであろう大災害にも耐え抜ける在宅避難をかなえる手段だということを常田さんはおっしゃっているわけです。最新防災備蓄グッズ
そして最後に、「その在宅避難に際して用意しておくべき最新備蓄グッズの紹介」です。
まず1つ目は「携帯浄水器」です。
これは実際にYouTubeなどでも実演している人がいるそうですが、雨水や泥水なども中のフィルターによって99.9999パーセントを除菌して嫌な臭いなども除去して安心・安全な水が飲めるという代物です。
しかも驚きなのがその浄水量です。これは充電式なのですが、フル充電時で連続4時間利用でき、その水量は120リットルにものぼります。
つまり、自分一人だけではなく家族はおろか、その地域の人にも分け与えることができるぐらいのレベルなのです。
またこれは双方向充電式なので、例えばスマホの充電が切れた時などは、充電されているこの携帯充電器からスマホに電気を供給することもできるそうです。
もし充電ができていなくても手回しでも使うことができるらしく、つまりは浄水だけではなく災害時にマルチで活躍できる商品だということです。
今ではさまざまな企業が販売していますが、大体1万円から3万円ぐらいで手に入るそうです。アマゾンなどでも取り扱われています。
アマゾンに載っていた情報を下に載せておきます。
【徹底比較】携帯浄水器のおすすめ人気ランキング【2024年11月】
次は「食料品」です。そのまま封を開けて食べることができる長期保存おにぎりやその外袋に水を入れて封をして30分待てばアツアツの状態になるわかめご飯やカレーライスなどがありました。
つまり、電気やガスが使えない状態でも、水さえあれば温かいものが食べれる仕組みになっているわけです。おにぎりに至っては水も必要ありませんね。
このような便利な食品が今はどんどん研究・販売されているようです。おにぎり1個、わかめごはんが1食で800円ぐらいと値段はちょっと高いですが、正直、これぐらいで済むのなら備えておいて損はないなと感じました。
商品の一部を紹介します。
「非常食 水を入れるだけ」
水・火・電気がなくても温かいごはんが作れちゃう、絶品非常食を発見。 防災の日にあわせてもしもの備えを見直しだ |マイ定番スタイル
もちろん今までどおり缶詰やカンパンなども用意しておくと安心ですが、このような最新の食品も用意しておくと精神的にも安らぐのではないかと感じました。
また、市販の水に関して知らない方も多いかもしれませんが、未開封のものなら賞味期限はありません。何年でも何十年でも保管しておいて大丈夫です。
結局、開封したり、口をつけることで初めて菌が混入するわけで、開封しなければそもそも菌は発生しないというわけです。なので、やはり水はちょっと多めに備蓄しておくといいのかなと思います。
水についての情報も載せておきます。
水に賞味期限はある?期限切れの水の取り扱いや正しい保存方法を解説
ちなみに、このような災害時に行政から何らかの物資や支援が届くのはどれだけ急いでも最低72時間はかかるそうです。
つまり、言い換えれば、72時間さえしのぐことができればいいということにもなります。
それはつまり私たち自身が72時間を耐え忍ぶだけの備蓄が必要だということです。皆さんは今自分の周りを見渡してみて、72時間を耐え抜くことができそうですか?さいごに
そしてイベントの最後には、私たち視覚障害者が災害に対して不安に感じていることや災害時の視覚障害者の現状というものを行政に届けるためのアンケートに回答していただきました。
また、今回のイベントを振り返ってみると、お話だけではなく実際に触ることができたので、とても分かりやすく、大きな学びになったのではないかと感じています。
そしてハッピーライドさんはこのような防災イベントを頻繁に企画しておられます。
令和7年1月18日(土曜日)19時から、福岡市中央区今泉にある「アスミン」という施設で大掛かりな防災フォーラムを行うそうです。
ご興味がありましたら、ぜひご参加いただきたいと思います。
それでは長くなりましたが、今月の報告は以上となります。
お読みいただき、ありがとうございました。
そして今年1年、本当にありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願いします。よいお年を。
- 今月のテーマ:
(防災学習その2)防災イベント